近代住居~

家を解体する都市

「現実に今日、ファミリーレストランは住宅内のダイニングルーム以上に家族団欒を意識させる場であるかもしれず、デパートの惣菜コーナーや近隣の二十四時間のファミリーマーケットは住居内のキッチンや冷蔵庫以上にキッチンや冷蔵庫の役割を果たしているか…

ユニバーサル・スペイス

「 丹下は日本の建築的伝統を「空間の無限定性」であると宣言する。西欧の建築では、部屋を用途で呼ぶ。たとえば「寝室」とか「居間」とかいう。日本では「六畳の間」とか「八畳の間」とか、広さで呼んで用途では呼ばない。また、日本の部屋は襖のような可動…

家族から個人へ

「近代住居がそうであったように、現代住居も現代家族以外を軸として成立しないのだがーー、しかし現代では「家族」は名も実もない。あるものは個人だけである、あるいは社会全体が家族であり、その構成単位が個人である。そしてその住居を考えれば、この構…

家の記憶、二重の時間性

「このような意味で家はまさに多様な時間の結果である。家そのものが記憶である。それは私だけでなく、私の祖先たちの痕跡であり、さらに、家族をこえて家をつぎつぎに進化させてきた人類の時間の痕跡が重なっている。厳密にいえば、さきに区別したように家…

理想の住宅、と家族

「住居の改良に関わる言説は、「美的なもの」「道徳的なもの」「能率的なもの」を志向すると言うことができる。住宅は、美しく、道徳的で、合理的なものでなければならなかった。」(祐成 2008:246) 祐成は 優生保護法が施行されてから出生率が急落したこと…

鋳型としての住居

「幼児たちは、住居の秩序を乱すアウトサイダーであり野蛮人である。親から教わるのは言葉だけではなく、空間のルールも学ぶ。ウッドとベックら(※)はある家族に対する七年以上にわたる調査で、リビングルームに二二三種類ものルールがあることを見いだした。…

近代住居

「最小限住居の探求は、すなわち住居の本質をめぐる問いそのものであり、(…)何を本質的あるいは合理的と見なすか、すなわち、何を無駄あるいは非合理と見なすかは、その対象を把握しようとする主体の仮説ないしは思想に左右される。」 (祐成 2008:4-5) …